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Saturday, October 3, 2020

W感染は?新型コロナとインフルエンザのゲノムから見た違い|コロナ第2波に打ち勝つ最新知識 - 日刊ゲンダイ

中川草(東海大学医学部分子生命科学講師)

 一時期の夏の暑さが過ぎ去って、朝晩は秋を感じられる日も多くなってきた。新型コロナウイルス(以下新コロナと略記)の感染者についても一時期よりもだいぶ減少したが、一方でこれからの季節はインフルエンザウイルス(インフルと略記)が例年猛威を振るっている。

 新コロナもインフルも両方とも呼吸器感染症ウイルスで、その初期症状は区別するのが困難な場合も多い。一点、嗅覚・味覚障害については新コロナに特徴的ではあるが、新コロナの感染者全てにこの症状が出るわけではない。

 それでは、この2つのウイルスはゲノムレベルで見たときも近縁なものなのだろうか。

 その答えはノーである。確かに新コロナもインフルも、同じウイルスで、RNAという分子を遺伝情報、すなわち自己複製に必要な全ての情報を格納するために使っている。一方で、人間を含めた生物はDNAという分子を遺伝情報の格納のために使用し、RNAはDNAにある遺伝情報を一過的に読み出して活用するために主に使う。

 RNAには4種類の異なった塩基と呼ばれる“文字”に相当するような部分があり、この4文字の塩基の並んだ“文章”が遺伝情報の本質である。新コロナとインフルでは、そのRNAへの遺伝情報の書き込みの仕方が異なる。新コロナはすべての遺伝情報を1本のRNAにすべて書き込んでいる。本で言うならば1冊の読み切りだ。一方で、インフルの遺伝情報は8冊の別々の本に書き込まれていて、8冊合わせてはじめてインフルの複製が可能になる。

■ウイルスがより増幅することはない

 新コロナとインフルではRNAの使い方も異なる。新コロナは遺伝情報がそのままRNAにコードされている(ヒトなどのRNAのように読み取られてタンパク質ができる)が、インフルでは鏡文字のように一度反転させてから読み取らなければならない。したがって、インフルと新コロナのゲノムで万が一にも組み合わさったとしても(可能性は限りなくゼロに近いが)、RNAの読み取り方の違いのために、そのような組み合わさったウイルスが増幅することは考えにくい。

 それではこのようなゲノム構造が全く異なる、あまり近縁ではない2つのウイルスは、どうして似たような初期症状を引き起こすのだろうか。

 具体的には、喉の痛みや鼻汁、くしゃみ、咳、そして高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感などの症状である。

 実はこれらの症状は、インフルや新コロナが感染することで直接引き起こすものではなく、人間の免疫系がウイルスを排除しようとするときに起こる防衛反応によるものだからである。

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