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Friday, May 13, 2022

流出の危険は? 猛毒「ダイオキシン」含む除草剤 全国54カ所 ダム上流にも埋設 福岡県|ニュース・天気|TNC テレビ西日本 - tnc.co.jp

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全国各地の山林に、猛毒のダイオキシンを含む除草剤が埋められているのをご存じでしょうか?

実は、福岡市民にとって大切な水がめのそばにも埋まっています。

流出の恐れも指摘される現場を取材しました。

福岡県那珂川市と佐賀県吉野ヶ里町にまたがる『五ヶ山ダム』。

2021年1月に運用が開始され、福岡市などに飲み水を供給しています。

その近くにあるハイキングコースで川崎キャスターが待っていたのは、北九州市立大学の原田和明さんです。

原田さんは、五ヶ山ダムにほど近い山中に埋められている『ある物』を20年もの間、調査しています。

山道を歩くことおよそ10分…

◆北九州市立大学 原田和明さん
「あれですね。あの白い看板です」

その看板に
書かれていたのは・・・

◆川崎キャスター
「立ち入り禁止という文字、そしてその下には245T剤が埋没していると書かれていますが、これは?」
◆北九州市立大学 原田和明さん
「245T剤というのは、ベトナム戦争で米軍が大量に散布した枯れ葉剤のことです」

『245T剤』とは…

今から47年前に終結した『ベトナム戦争』。

米軍はジャングルの緑を枯らすため、大量の枯れ葉剤を使用しました。

『245T剤』とは、この枯葉剤の主成分で、猛毒のダイオキシンを含む除草剤だと言います。

そんな「猛毒」が、なぜこの場所に埋められているのでしょうか?

◆川崎キャスター
「そもそもなぜここに埋まっているのですか?」
◆北九州市立大学 原田和明さん
「1970年代に、林野庁が日本全国の国有林に枯れ葉剤をばらまいたんですよ」

林野庁によると、埋設されている除草剤は、かつて国有林の雑草を枯らすために農薬として使用されていました。

しかし、世界各地で健康被害の恐れが報告されたため、林野庁は1971年に使用中止を決定。

当時の技術では安全に処理をすることが出来なかったため、在庫を埋めて処分することになったといいます。

当時、埋設されたのは全国で54カ所。

その中の1つが五ヶ山ダムにほど近いこの場所で、ダムまではおよそ1キロです。

◆北九州市立大学 原田和明さん
「当時処分方法がなかったというのと、処分にお金がかかるというので誰も手をつけたがらない、問題ですよね。(林野庁は)できれば問題を先送りにして、その間に大きな災害にならなければいいなという期待をもちつつ、先送りしているということなんじゃないですかね」

この場所に猛毒の除草剤が埋設されてから、およそ50年。

この問題を長年調査してきた原田さんは、国の管理体制に疑問を呈しています。

埋設当時、林野庁の通達には、土やセメントに混ぜてコンクリート塊にすること、そして、1カ所に埋める量は300キログラム以内にすることが規定されていました。

しかし…

◆川崎キャスター
「ここにどのくらいの量が埋まっているんですか?」
◆北九州市立大学 原田和明さん
「林野庁が発表している数値は、950キロということになっている」

規定の3倍以上の量が、この場所に埋められているというのです。

規定以上の除草剤について、埋設地を管理する林野庁佐賀森林管理署は…

◆林野庁佐賀森林管理署 白石健二署長
「除草剤の量としては多かった分もありますけど、そこは埋めて今までも土壌調査とか水源の調査においても安定した場所に埋めているということもありますけど、そういう点では大丈夫だったと。安全な形でするにはあれがよかったと、今のような形がよかったという風に考えています」

林野庁は『現在のところ問題がない』としていますが、『五ヶ山ダム』からの水を供給している福岡市は、水質の調査を続けています。

◆福岡市水道局 畑野和広所長
「245Tの水質検査については平成4年から毎年検査しておりまして、今まで1度も検出したことはありません」

通常の水質検査に加え、ダムや周辺の河川に245T剤が漏れていないか、専用の機材を導入して検査しているといいます。

◆福岡市水道局 畑野和広所長
「現場の方が『適切に管理されているのか』というような所がございますので、市民の気持ちとしましては、上流域に埋められているというのは不安な気持ちが出てくるのは理解ができますので、我々としては検査徹底して行う」

こうした中、原田さんは、ある可能性を指摘します。

◆北九州市立大学 原田和明さん
「土砂崩れは想定できないですよね。最近の水害の規模が違うので」

原田さんが懸念するのは、ここ数年相次いでいる豪雨による土砂災害です。

この場所で災害が起きた場合、埋設されている除草剤が流れ出るのではないかというのです。

同じ懸念は、五ヶ山ダムがある那珂川市の担当者も、重大な問題と捉えています。

◆那珂川市 都市整備部 白水善尚部長
「昨今の雨量、万が一があったときに、市民に対する影響は非常に懸念されますので」

実際に4年前の西日本豪雨では、埋設場所の近くで土砂災害が発生しています。

◆那珂川市 都市整備部 白水善尚部長
「下流域に対する農作物の被害とか、それだけなく直接人が手に触れる場合もあるかと思いますし。市民が安心して那珂川市で生活して頂くために不安材料を払拭して頂きたい」

那珂川市では毎年、林野庁に対して『埋設場所の完全移設』や『完全な管理状況』を作るように要望しているといいます。

一方の林野庁は、1992年から、埋設場所やそれを囲うフェンスなどに変わったところが無いか、現地調査を月2回実施。

これまでに異常は無いとしています。

◆林野庁佐賀森林管理署 白石健二署長
「そもそもなだらかなところで、(災害が)起こりにくいところと考えています。うちの方としては、引き続き異常がないかどうかの点検はこれまでやっておりますし、大雨が降るとき、地震のときはやっております」

また、そうした中、2021年11月からは、安全な撤去が可能なのか調査も始めたと話します。

◆林野庁佐賀森林管理署 白石健二署長
「どういう形で運ぶのかとか、コスト的にはどれくらいかかるのかなど、課題がいろいろあるのではと。調査した上で方針が決まっていくのかなと思います」

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