教えて! ビジネスマナーの新常態
コロナ禍をへて大きく変わった私たちの働き方。ビジネスマナーにも、時代に合わせて大きく変化するものがあれば、全く変化しないマナーも存在する。「こんなとき、どう対応するのが正しいの?」といった疑問に、NPO法人日本サービスマナー協会の特別マナー講師、井手奈津子さんが回答する。
連載6回目も、前回に続きWeb会議がテーマ。一時期、SNSなどを中心に話題となった「Web会議は上司など立場が上の人から順に退室するのが望ましい」――というルール。経験したことのないビジネスシーンの登場で、さまざまな点に気を遣う気持ちは理解できるが、果たして、本当に気にする必要があるのだろうか。
――Web会議で上司より先に退室するのは失礼にあたるのでしょうか
井手講師: 失礼にあたるかというとあたらないでしょう。皆が上司の退室を待っていたら会議をなかなか終了できず、時間のロスにつながります。「失礼します」などと一言あいさつをして、早く退室しましょう。
――退室の順番まで気にする必要はないのですね
井手講師: ただし、自身がWeb会議の主催者で、ホスト権限を持っている場合は注意が必要です。例えば、少し残って話を続けたい参加者がいるかもしれません。ホスト権限を持っている際は、別の人に権限を渡して退室したり、終了時に一呼吸を置いてから会議を終わらせるなどの配慮が必要でしょう。一参加者なのか、ホスト権限を持った主催者なのかによって、退室のタイミングは異なってきます。
――Web会議については一時期、上座・下座についても議論がありました
井手講師: 目上の人には出入口から一番遠い「上座」の席に座ってもらうというマナーがWeb会議でも適用されるのかという議論ですね。これは過去にも多く質問を受けましたが、Web会議での上座・下座などという考え方は「ない」と答えています。個人的な願いとしても、そのようなルールは作らないでほしいと考えています。
――Zoom社が2020年9月、特定の参加者を上部に固定表示できる機能を導入し話題になりました
井手講師: それまでは入室順に参加者が表示されていたのが、特定の参加者を固定表示できるようになり、日本のビジネスマナーである上座・下座文化に配慮した機能ではないかと話題になりました。しかし、Zoom社は報道などでこれを否定していますし、利便性の向上を狙った機能追加だとしています。
――なぜこのようなビジネスマナー議論が起こるのでしょうか
井手講師: コロナ禍で、Web会議などこれまでに経験したことのない手段が導入されたことで、手探りの状態で仕事を進めていくうちに、疑問として浮かんできた部分もあるのだと思います。同様の質問はたくさんいただきますが、Web会議の上座・下座を気にするよりも、議題の中身やネットワーク環境を整えることに気を配る方がよいでしょう。
そのほかのトピック
講師紹介:井手奈津子

日本サービスマナー協会 特別マナー講師
大手クレジット会社の人事部で採用教育担当として、約10年間従事する 。参加者一人ひとりの個性とやる気を引き出す研修スタイルを持ち味とし、現在は研修講師・キャリアコンサルタントとして全国の官公庁・民間企業・大学・専門学校などで毎年180日間以上の登壇実績を持つ。専門はマナー講師養成講座、アサーティブコミュニケーター認定講座、ビジネスマナー研修、電話応対研修、クレーム応対研修など。
著書に『仕事の基本とマナーで面白いほど評価が上がる本』(あさ出版)がある。
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