新しい人を迎える場面こそ、人柄が出る
部下にどんな言葉をかければいいか悩んでしまう、上司の言っていることの真意が分からない。同じ日本語を話しているはずなのに、なぜ、伝わらないのか。そんな世代間ギャップに注目し、コミュニケーションのノウハウや言葉の使い方を分かりやすく物語形式で解説したひきたよしあきさんの著書『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)は発売後約2週間で増刷が決定! 今回は同書から「転職してきた人にポジティブな印象を与える一言」を紹介します。
登場人物
小さなIT企業から、このイベント会社に転職することになった。学生時代はIT 関係の仕事に就きたいと思っていた。それがかなって、毎日楽しく過ごしていたのだけれど、3年目を過ぎて欲が出た。「違う世界も知りたい」「もう少し、大きな仕事がしたい」「もっと、人と関わる仕事をしてみたい」
そんな気持ちが芽生えているとき、このイベント会社と仕事をした。楽しかった。みんな、スマートだった。うちの会社では見たこともないような笑顔。ファミリーのような雰囲気も羨ましいと思った。
この会社がIT関連の人材を募集していると聞いたのは、それから3カ月後。仕事をした皆さんに連絡を取ると、「受けなよ。歓迎するよ」と前向きな声をもらう。日に日に思いが募り、結果、念願かなって転職した。
でも、不安もある。まず、職種が違う。もちろん僕の知識や技術を生かすことはできるだろうが、転職先が「制作一課」と聞いて、ちょっと心配になる。IT専門の部署ではない。イベントの制作をしろと言われても、スキルもネットワークもない。ついていけるだろうか。 まだある。これまでいた企業は、働いている人がみんな若かった。社長が僕の4つ上。入社3年目なのに、僕が古株に入るくらい社員が若い。ところが、この会社にはいろいろな世代の人がいる。昭和のバブル期入社の人が役員に多いと知ると、「24時間、働けますか?」的な雰囲気があるんじゃないかと心配にもなった。
そんな不安を抱え、出社初日を迎えた。新しい入館証で会社に入ると、緊張感が増した。どんな世界が待っているのだろう。
まず挨拶に行くのは、課長だ。社員みんなの心を温かくすることから、「太陽上司」と呼ばれているらしい。ドキドキする。「制作一課」の扉を開けた。窓際の席から、僕を見ている人がいる。太陽上司に違いない。僕が足早に近づくと、立ち上がり、こう言った。
「君が、二村くんか!」
びっくり。僕の名前を知っている。それに、ものすごくうれしそう。
「待ってたよ!」
と、言葉は続いた。
僕を待っていてくれた人がいる。今日、出社してくる自分を心待ちにしていてくれた人がいる。熱いものがこみ上げてきた。
「我、転職に成功せり!」
そんな言葉が、頭の中でガンガン、ガンガン鳴り響いた。
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待っています
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