大阪・熊取町で小学４年生の吉川友梨さんが行方不明になった事件から今月（５月）で２０年です。
友梨さんが最後に目撃された時間帯に合わせて１６日、現場近くで警察官などが情報提供を呼びかけました。
２０年前の平成１５年５月２０日、大阪・熊取町で、小学４年生の吉川友梨さん（当時９歳）の行方がわからなくなり、警察が誘拐事件として捜査しています。
事件が起きたのと同じ火曜日の１６日、警察官など３０人余りが、友梨さんが最後に目撃された午後３時ごろに合わせて、情報提供を呼びかけました。
現場近くを通行する車やバイクの運転手に声をかけ、当時、不審な人物を見かけなかったか尋ねたり、友梨さんの写真が載ったチラシを配布したりしていました。
警察によりますと、友梨さんは自宅の手前にある交差点で、一緒に下校していた同級生３人と別れたあと行方がわからなくなったということです。
当時、付近では白色のクラウンやワンボックスなど複数の車両が目撃されていて、警察が所有者などを捜査していますが、有力な手がかりは得られていません。
事件に関する情報は、泉佐野警察署の捜査本部、０７２−４６４−１２３４で受け付けています。
また、メールでも受け付けていて、メールアドレスは、ｙｕｒｉ＠ｐｏｌｉｃｅ．ｐｒｅｆ．ｏｓａｋａ．ｊｐです。
【友人“待っている”】
吉川友梨さんが行方不明になる直前まで一緒に下校していた友人の１人が、２０年間、帰りを待ち続けている思いを伝えたいとテレビのインタビューに初めて応じ「生きていることを教えてくださいと伝えたいです。私はずっと待っています」と切実な願いを語りました。
現在は、東京で会社員として働くみさとさん（２９）は、事件のおよそ１年前に友梨さんが通う学校に転校して同じクラスになったことをきっかけに親しくなりました。
一緒に遊ぶことも多く、当日もふだんのように下校していて、友梨さんが自宅の方向に向かって帰って行くのを見送ったのを最後に行方がわからなくなりました。
当時の様子についてみさとさんは「夕方になって、お母さんに電話があって友梨さんが帰宅していないことを知りました。その辺にいるのではないかと思っていましたが、夜になって大人たちの様子を見てただ事じゃないことに気がつきました。状況がつかめなくてどうしたらいいのかわかりませんでした」と振り返ります。
みさとさんは、友梨さんが自宅でピアノを弾いている姿が印象的だったといい「一緒に遊ぶときは、友梨さんが弾くピアノやエレクトーンをそばで聞いていました。とてもうまかったですし、学校では見せない一面をみた気がしてその姿はいまもよく覚えています」と話していました。
また、みさとさんの手元には３年生の秋に撮影された地元のだんじり祭りの写真があります。
みさとさんと友梨さんがはっぴを着て笑顔で写っていて、写真を見るたびに当時の様子を思い出しています。
みさとさんは「写真から活発さが出ていて、友梨さんはリラックスをして笑っているように感じます」と話しています。
友梨さんが見つからないまま迎えた９年前の成人式では、新成人全員が友梨さんの無事を願って合唱しました。
歌は友梨さんが行方不明になった当時から小学校で歌われていたもので、みさとさんは曲を聞いたとたん、友人の助けになれないことや一緒に祝うことができない現実に涙が止まらなくなったといいます。
その後も事件の報道をみたり、行方がわからなくなった日が近づいたりするたびに、友梨さんのことを思い出しますが、記憶が薄れつつあることに、焦りを感じています。
みさとさんは「覚えていることがあれば、何でも話そうと思っていましたが、あの日のことは日常の一部だったためあまり覚えておらず、本当に悔しく感じています。私が何も伝えなければ、忘れられてしまいそうで怖いです」と話しています。
今月５日、みさとさんは一緒に下校していた３人で現場を訪れました。
友梨さんと一緒に遊びながら帰宅した当時の記憶がよみがえり、みさとさんは友梨さんの無事を祈って、帰りを待ち続けています。
みさとさんは「やっぱりさみしいです。どんな大人になっているのだろうと考えてしまいます。友梨には、なんとかして生きていることを教えてくださいと伝えたいです。私はずっと待っています」と話していました。
【事件の経緯】
吉川友梨さんが行方不明になったのは、２０年前の平成１５年５月２０日でした。
当時９歳、小学４年生でした。
行方不明になった日、友梨さんは社会見学から学校に戻ったあと、午後２時半すぎに同級生と一緒に小学校を出て、１.８キロ離れた自宅に向かいました。
この日は、白色のブラウスに紺色のスカートの小学校の制服を着ていて、ハムスターのキャラクターがかかれた黄色のリュックサックを背負っていました。
当時の身長は１３５センチで、足元は、ピンク色の靴下に紺色の運動靴をはいていました。
学校からおよそ１.２キロ離れた熊取町の七山交差点で同級生と別れて１人になり、さらに１００メートルほど進んだ場所で別の同級生とすれ違ったのを最後に行方がわからなくなりました。
午後３時ごろでした。
その後の捜査で、付近に止まっていた白い車に、男と友梨さんとみられる女の子が一緒に乗っているのが目撃されました。
運転席には男、助手席には小学生くらいの女の子がうつむいて座っていたということです。
この車は、平成３年まで販売されていたトヨタの「１３０系クラウン」とみられ、角張ったデザインが特徴の当時でもあまり見かけない車種でした。
警察は、熊取町の周辺で登録されていた同じ車種およそ９００台をリストアップし、これまでに９０％近いおよそ８００台の所有者をあたって使用状況などを確認しています。
このほか、当時、付近で目撃された不審な車両として、▼黒色のセダン▼白色のクラウン▼白色のワンボックスなどの情報が寄せられたということです。
これまでに、▼動員した捜査員は、のべ１０万６０００人、▼寄せられた情報はおよそ５３００件に上りますが、いまだ有力な手がかりは得られていません。
友梨さんは現在２９歳になっていて、警察は２０歳になった際に似顔絵を作って公開しています。
また、犯人逮捕につながる有力な情報を提供した人に公費から最高で３００万円の報奨金を支払うとしていて、情報の提供を呼びかけています。
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