──大胆な肌見せもニコラスさんらしい表現ではないかと思います。肌見せはともするとセクシーになりすぎたり下品になってしまいがちですが、いつもクリーンで洗練された印象に着地しているのに驚かされます。
性別、体型を問わず人間の身体に関心を持っているので肌を見せるデザインは好きですが、下品なのはNGですね。セクシーかどうかは特に考えず、とにかくフィッティングを重ねて丈の長さや生地の開き具合を調整しています。かつてこうしたバランスをうまく取っていたのはヘルムート ラング(HELMUT LANG)だったと今改めて思います。彼には常に自分の「ボキャブラリー」があって、シーズンごとにスタイルをころころ変えていなかったことにも共感します。リック オウエンス(RICK OWENS)やアン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)も同様ですよね。僕も毎季新しいテーマを設定はしますが、同時に自分の「ボキャブラリー」も表現したいと思っています。
──ニコラスさんがクレージュを手がけるようになってから、若い世代からの支持も増えたように感じます。
僕や友人たちが好きなことを表現しているだけで、若々しいスタイルを提案したいわけではないんですけどね。僕の友人には20代から50代までいて幅広いんです。スタジオが旗艦店の上のフロアにあるのでよくお店の様子を観察するのですが、20代の人が両親と一緒に買い物をしていたり、古い顧客が戻ってきてくれていたりする。セクシーなドレスを真っ先に買うのが60代の女性だったり。多様な人々が自分らしくクレージュを着ているのを見るのが楽しいです。
──それでは特定のミューズを思い描いたりはしていないのですね。
美は、さまざまな人に存在すると思っています。街でふと見かけた女性や親子連れ、何かいいことを言っていた友人の妹など、見た目だけではなく、生き方や姿勢からインスピレーションを受けることもあります。
──日々のふとしたことがヒントとなるのですね。
日常生活に美が溢れていることを僕たちは忘れがちではないでしょうか。次のシーズンもこうした何気ないことが着想源になりそうです。
歩きスマホのモデルがランウェイを闊歩
──2023-24年秋冬のショーでは、モデルが歩きスマホをしながら登場したのも印象的でした。
皆いつも携帯で何かしら検索していますよね。僕も彼と一緒にいる時でさえ没頭してしまうことがあり、そのシルエットをコレクションにしてみようと思いつきました。ちなみに、こうしたハイテクには役立つ面もありますが、最近取り沙汰されているAIには疑問を持っています。雇用を奪われるなど、人間に取って代わる恐れもある。そんな世界で、子供たちははたして夢を持つことができるでしょうか。1960年代の風潮もあり、アンドレ・クレージュは未来志向だと言われていて僕もそうですが、生身の人間同士が一緒にいることができる未来を望んでいます。
ドーバー ストリート マーケットに常設スペースが登場
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待っています
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