つやつやとした光沢を放つキクラゲが、ビニールハウスの中で収穫を待っていた。愛知県春日井市のキクラゲ農園「春日井ファーム」。運営しているのは、トヨタ自動車などの部品物流事業を手がけるホンダロジコム(春日井市)だ。国産キクラゲの菌床栽培に本気で取り組んでおり、生キクラゲや乾燥キクラゲ、関連商品を販売し、インスタグラムでキクラゲを使った料理も発信している。それにしても、なぜ物流会社がキクラゲなのか。春日井ファームとホンダロジコムを訪ね、本多敦社長(52)にインタビューした。(編集委員 森太)
「約5、500の菌床があり、無農薬で育てています」。住宅街にある白いビニールハウスの入り口で、栽培担当の川上昇平さん(31)が説明する。白い箱形の菌床は、国産の広葉樹を粉砕したおがくず、穀物を主原料とした栄養と水、キクラゲ菌のパックになっている。上下6段の棚に並べられた菌床は数十メートル奥まで続いていた。棚の間の細い通路では、スタッフが収穫時期を迎えたキクラゲを一つずつ丁寧に摘み取っていた。冷暖房完備のこのハウス内の温度は26度前後、湿度は70~90%と高く保たれている。年間を通して収穫でき、月平均約1.5トンの収穫量があるという。
川上さんは「静岡から届く菌床にカッターナイフで何本かの切り込みを入れておきます。そこから、今の時期なら1か月くらいで生えてきますね」と話す。その後の成長は早い。1週間、遅くとも2週間で収穫できるそうだ。キクラゲの大きさは、菌床を棚に並べた時期によって異なる。大きくなり過ぎる前のほどよい大きさのものを毎日収穫するのがポイントになるという。収穫後は、おがくずや石突きを落とし、洗浄機にかける。生キクラゲは水分を飛ばし、品質チェックを経て出荷。乾燥キクラゲは2日間、天日干しした後、乾燥機に入れる。天日干しによってビタミンDがアップするそうだ。
「薬膳の王様」ともいわれるキクラゲは、ビタミンDやカルシウム、食物繊維が豊富で、和洋中さまざまな料理に使われる。ただ、日本で流通しているものは、9割以上が中国産とされる。春日井ファームのキクラゲは、中国産と比べて肉厚で弾力のある食感が特長だ。
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