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Sunday, November 19, 2023

ソフトバンク元部長らの詐欺容疑事件「芸能人と交友」と勧誘か ... - nhk.or.jp

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ソフトバンクの元部長らが架空の事業で投資を募り、12億円をだまし取ったとして逮捕された事件で、事件を主導したとされるアパレル会社の元社長は、交流があるという芸能人の名前を出して勧誘を行っていたことが捜査関係者への取材で分かりました。
警視庁は、ソフトバンクの企業ブランドや芸能人の交友関係を背景に信じ込ませたとみて調べています。

ソフトバンクデジタルトランスフォーメーション統括部の元部長清水亮容疑者(47)と元課長の枡田健吾容疑者(42)、それにアパレル会社の元社長森田真伍容疑者(41)の3人は去年、会社経営者の男性に対し、ソフトバンクの架空の事業をかたって投資を募り現金12億円をだまし取ったとして詐欺の疑いで逮捕されました。
これまでの調べで、投資を募る説明会はソフトバンク本社の高層階の会議室で20回以上行われ、会社のロゴが入ったうそのプレゼン資料を示していたことが分かっています。
事件を主導したのは森田容疑者とみられ、説明会にも同席したうえで「自分はアパレル会社の社長で、芸能界を中心に事業を展開している」などと自己紹介し、交流があるというお笑いタレントや歌手の名前を出していたことが捜査関係者への取材で新たに分かりました。
清水元部長は会社経営者の男性に対し、機密性の高い事業だとして「秘密保持契約」を結ぶよう求めていたということで、警視庁はソフトバンクの企業ブランドや芸能人の交友関係を背景に、巧みに信じ込ませたとみて詳しいいきさつを調べています。

ソフトバンクの元部長らが自社の「一大プロジェクト」への投資だとうそをついて12億円をだまし取った今回の事件。
これまでの捜査で巧妙な手口が明らかになってきました。
事件の舞台になったのは、東京・港区のソフトバンク本社にある会議室でした。
投資家向けの説明会として東京湾が臨める高層階の会議室に集められたのは、会社経営者などおよそ20人。
いずれもアパレル会社の社長だった森田容疑者が、自身の人脈を使って集めました。
会議室に現れたソフトバンク・デジタルトランスフォーメーション統括部の部長だった清水容疑者と課長だった枡田容疑者。
森田容疑者も同席していました。
清水元部長がソフトバンクのロゴが入ったプレゼン資料を配り、大型モニターに示したプロジェクト名は「全チャネル統一ナレッジ管理システムプロジェクト」。
「全国に3500あるソフトバンクの店舗のシステムを改修する一大プロジェクトで、発注額は96億円。私がその責任者だ」と伝えました。
ソフトバンクでは副業が認められていて清水元部長は、このプロジェクトを自分が経営する会社が受注するとコンプライアンス上問題があるため、枡田元課長が経営するITコンサルに受注させたと説明したうえで、「実質的には自分の会社が事業を行う。発注側の決裁権もあるし、受注側でもあるので確実な投資だ」などと持ちかけたということです。
そして「96億円は後から支払われるが、ベンダーに18億円を支払う必要があり6億円は自分たちで用意した。12億円足りないのでつなぎ融資をしてくれる投資家を探している。配当は20パーセントだ」とメリットを強調していました。
一方、このとき、清水元部長は機密性の高い事業だとして「秘密保持契約」を結ぶよう求め、説明会後のやりとりは秘匿性の高い通信アプリを使うよう依頼していました。
捜査関係者によりますと発覚を遅らせるねらいもあったとみられています。
こうした説明を信用した会社経営者の30代の男性が12億円を振り込みましたが、約束の期限になっても配当は支払われず、元部長らに問い合わせると「開発したシステムに不具合が見つかり、返済が遅れる」と説明を受け、その後、連絡が取れなくなったということです。
投資を募る説明会は20回以上行われ、警視庁が把握しているだけで男性を含めて3人が出資し、被害総額はおよそ13億円に上るとみられています。
森田容疑者と清水元部長は知人を介して数年前に知り合いました。
清水元部長が副業で経営していたITコンサルの会社は数億円の負債を抱えていたということで、警視庁は、借金返済のために森田容疑者の詐欺の計画に加担したとみています。
警視庁の捜査幹部は「ソフトバンクの企業ブランドを最大限利用し、精巧な舞台装置でだました悪質な事件だ」と話しています。

アパレル会社元社長の森田容疑者と5年以上の付き合いがあり、ソフトバンクの架空の事業に投資を持ちかけられた、別の会社経営者の男性がNHKの取材に応じました。
男性が森田容疑者から誘いを受けたのはおととし12月ごろでした。
「知り合いにソフトバンクの統括部長がいる」と言われ、ソフトバンク本社の会議室で当時、部長だった清水容疑者と課長だった枡田容疑者を紹介されプレゼン資料を使って事業の説明を受けたといいます。
男性は「統括部長が来て、すごい立場の人が出てきたと思ったし、本社の会議室で説明を受けたので、詐欺とはみじんも思いませんでした。資料は40〜50ページあり、しっかり作られていて、『こういう事業があるんだ』と思いました」と話しました。
事業の内容は清水元部長ら社員2人で説明を行い、森田容疑者は「説明を受けたらすごい事業だとわかるでしょ」などと言って「あおり役」のような形で参加していたということです。
森田容疑者が芸能人とつながりを持っているのを売りにしていたことも大きいといい、「六本木の飲み会とかには、しょっちゅう芸能人が来ているのを見ました。芸能人の写真を実際に見せながら話して人脈をアピールしながら人脈を作っていく。もともと明るい性格で、人の懐に飛び込むのがうまい」と話していました。
そして男性はこの事業に関連して20%ほどの利益が得られるという約束で、森田容疑者におよそ4000万円を渡したということです。
男性は「質問したことに対して、隙なく回答してくるので、疑う余地はなかった。ソフトバンクに対してお金を出すわけではなく、森田容疑者に預ければうまくやりますよと言われ、任せるという感じで4000万くらい渡した。20%付けると言っていた」と話しました。
しかし約束の金が支払われないと抗議すると、取り繕うような説明をされその後、連絡が取れなくなったといい、「いろいろと不測の事態が続いているという説明でした。ソフトバンクが後ろ盾としているから、心配していませんでしたが、返すと言った日に連絡が取れなくなったのでそこでだまされたと気付きました」と振り返りました。
男性によりますと、森田容疑者は今回と同じような手口で出資を求めてきたことが何度もあり、過去には不動産投資やFX取引、自身で経営するアパレルブランドの事業拡大に関連したもうけ話などを持ちかけられ、これまでに支払った金は1億円近くに上るということです。
男性は「お金を返してくれるなら返してほしいですが、使ってしまってないということなら、待っていてもしょうがないなという気持ちです」と話していました。

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