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Monday, March 14, 2022

コラム:中国、ゼロコロナの先に落とし穴 難しい成長との両立 - ロイター (Reuters Japan)

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[香港 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の政策担当者は、新型コロナウイルス対策の教科書に新たな手法を追加する必要に迫られているかもしれない。2020年以来続けてきた対策の焼き直しでは、「5.5%前後」という踏み込んだ年間成長率目標の達成がさらに遠のいてしまうだろう。

 3月14日、中国の政策担当者は、新型コロナウイルス対策の教科書に新たな手法を追加する必要に迫られているかもしれない。写真は1月、北京で新型コロナウイルスの検査を受ける女性(2022年 ロイター/Thomas Peter)

国内で新規感染者が再び急増するとともに、2大金融センターの上海と深センは事実上のロックダウン(都市封鎖)状態に置かれている。中国企業は、気がめいるような既視感に襲われているのではないだろうか。

香港に隣接し、2000万人近い人口を抱える深センで実施されている厳しい規制は、2020年の再現だ。当時の当局は建物を封鎖し、公共交通機関を止めて、モールや工場は休業。食料などの必需品は配給制となり、当局の職員によって届けられていた。

こうした厳格な対策の結果、20年第1・四半期の中国の経済成長率はマイナス6.8%を記録し、小売売上高と固定資産投資はいずれも前年比で20%弱も落ち込んだ。

ただ、感染率を抑え込んだことで企業は生産を再開し、電子商取引や輸出を拡大できたため、国内総生産(GDP)はあっという間にプラス圏に戻った。

中国国営メディアはこの成果を大々的に誇り、感染封じ込めに失敗した多くの西側諸国と対比して見せた。だが、そこに落とし穴が待っていたのだ。中国は感染の急拡大を避けながら国境閉鎖を解除することができなかった。

足元で流行の主流となっているオミクロン株は感染力が非常に強く、香港ではマスク着用義務と移動制限があったにもかかわらず全域に広がっており、中国の「ゼロコロナ」政策が達成不可能かもしれないという現実を示唆している。

ANZ銀行のアナリストチームの試算では、感染拡大地域で1週間ロックダウンを実施すると、今年の中国の名目GDPを1%ポイント近く押し下げかねない。

当局は、習近平国家主席の続投を正式承認するとみられる秋の共産党大会に向けた準備を進めており、速やかに感染を抑え込みたがっている。とはいえ、新たな景気後退がやってくるのも望んでいない。

オミクロン株の死亡リスクは低いと見受けられ、中国国民の大半はワクチン接種を終えている。感染者には新しい治療薬も幾つか出てきた。

同時に、ロックダウンの経済的リスクは増大している。海外需要が冷え込んでいる以上、輸出はもうそれほど下振れの影響を和らげてくれる要素にはならないし、経済の他の分野はまだ安定していない。

深センの港湾が機能しなくなれば、世界的なサプライチェーン(供給網)も打撃を受ける恐れがある。つまり、厳格な規制を敷く必要は医療の面から薄れている半面、そのデメリットが大きくなっている。

もっとも中国政府はこれまでゼロコロナ政策の成功を強調してきただけに、強硬姿勢を緩めるのをためらうのは理解できる。

●背景となるニュース

*12日の中国本土における新型コロナウイルスの新規感染者数は1807人と、1日として2年ぶりの多さとなり、前日から3倍余りも増えた。ロイターが13日、中国国家衛生健康委員会のデータとして伝えた。

*深セン市は14日から20日まで公共交通機関の運行を停止する。また、住民は「不要不急の全活動」を控えるよう命じられ、特別な必要がない限りは市外に出ることも認められず、3回にわたって大規模な検査も行われる。市の保健当局が13日に発表した。

*上海市当局は、新規感染者の増加に伴って学校や集合住宅、オフィス街区などの閉鎖を続けている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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