6月に入って西日本各地では梅雨入りし、東日本もこれから梅雨の時期に入ります。そのあとには暑い夏が待っています。そうなると気になるのが食中毒。どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。
【アウトドアシーズン バーベキューに潜む危険】
一般的に気温と湿度が上がる夏場にかけて、食中毒は増える傾向にあります。去年も5月の88件だったのに対して、6月に入ると128件と急増しました。
まず、気をつけたいのがバーベキューで肉を焼く時です。食中毒の原因となる細菌は、肉がもととなることが多いからです。
肉についている主な細菌を挙げますと、まずO157に代表される「腸管出血性大腸菌」です。とくに牛肉やレバーで多く見られます。人間の腸に入ると特殊な毒素を出し、感染した人は死亡する場合もあります。
去年8月には、京都の宇治市で精肉店が提供した生の牛肉で食中毒が起き、翌月、90代の女性が死亡しました。
また、「カンピロバクター」、「サルモネラ」も警戒すべき細菌です。いずれも鶏肉に高い割合でついていますが、牛肉や豚肉にも付着している可能性があります。
カンピロバクターは下痢や腹痛などに加えて、場合によっては「ギラン・バレー症候群」という、マヒ症状を引き起こすこともあります。サルモネラは下痢や腹痛といった症状のほか、高熱につながることもあります。
こうしてたくさん挙げるとちょっと怖くなるかもしれませんが、重要なことは加熱です。
食中毒の原因となる細菌の多くは、75℃で1分間以上加熱すれば死滅します。ですから、肉の中心の色が白っぽく変わるまでしっかり焼いて食べるということを守ってください。
とくに子どもや高齢者など、抵抗力が弱い人は食中毒にかかりやすいので、より注意が必要です。
【焼く際には道具の使い分けを】
そのうえで大事なのは、焼く時の道具の使い方です。
使い方の重要性を確かめるため、愛知県岡崎市の保健所はある実験を行いました。
肉に細菌を塗ったうえで、その肉を乗せるとき、裏返すとき、そして取り上げるとき、トングとはしを使って、取り上げた肉に細菌がついていたか、4つの場合を調べました。
その結果、細菌がついていなかったのは、肉を取り上げるときに別のはしを使った場合だけでした。
4つの場合のうちの右から2番目、裏返すときに使っただけでも、生の肉の細菌がついてしまうということです。
農林水産省は「たとえば肉を焼くときはトングを使い、焼けた肉を取り上げるときにははしを使うというように使い分けてほしい」と呼びかけています。
つまり、口に入れる肉に使うものと生の肉を焼くもの、これは別々に使い分けないといけないというわけです。
【カレー 大鍋で作るときにも注意を】
キャンプでカレーもおいしいですよね!これにも注意が必要です。厄介者なのが、「ウエルシュ菌」です。
ここ数年、ウエルシュ菌の食中毒は年に数十件、発生しています。
5月、東京・中野区の子ども食堂で起き、16人が腹痛などの症状を訴えました。チキンカレー弁当が原因でした。
この細菌には2つの特徴があります。
1つが、酸素を嫌うことです。ですので、空気と接しない部分ができる、大きな鍋や釜でカレーや煮込み料理を作ったときに増えやすいんです。
もう1つは熱に強いことです。細胞のなかに「芽胞(がほう)」という「種」のようなものをつくり、100℃で数時間煮込んでも死なない場合があります。
特に増殖しやすいのが43から45℃くらい。煮込んだカレーを常温でゆっくり冷ますと、その間に、高温で加熱しても生き残った菌が急増する可能性があります。
対策としては、小分けにして冷蔵庫で急速に冷ましたうえでなるべく早く食べること、そして食べるときにはかき混ぜながら、十分に加熱することが重要です。
夏の時期の食中毒対策について、東京農業大学食品安全研究センターの五十君靜信 センター長は「まず『温度』の管理。できるだけ、食品を低温で保存すること。また食べるときは、細菌を殺すため、よく加熱して食べること。そして、細菌が増える前に、なるべく早く食べることを心がけてほしい」と呼びかけています。
【カビにもご用心を】
食中毒の原因として報告されているわけではないのですが、最後にもう1つ、注意してほしいのがカビです。
カビのもととなる「胞子」や「菌糸」は、空気中などどこにでも漂っているということです。食品など育ちやすい場所にくっつくと増殖し、中には毒をつくる種類があります。
カビはでんぷんや糖分を含んだものが大好きです。特にパンやもち、ケーキといったもの。さらに野菜や果物、ピーナッツなどどんなものにも生えるということです。
気になるのは、たとえばパンにちょっとだけカビが生えたのを見つけたとき、どうすべきか、です。
この写真は切り餅です。右側にカビが生えています。では、反対側の赤い丸の部分はどうでしょうか。
一見、何もないように見えますが、カビの菌糸が青く見えるように染色して、顕微鏡で見たのが下の写真です。
真ん中の青い糸くずのようなものは菌糸です。毒素は菌糸が作るので、毒がある可能性があり、安全とは言いきれません。
カビを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
食品安全委員会によりますと、食品のカビを防ぐには、低温、乾燥、そして密閉して空気に触れないようにするというのが重要です。
カビの最適な発育温度は20から25℃。さらに湿気を好みます。そして、多くの場合、育つには酸素が必要です。
ですから、こうした条件を満たさないようにすることが対策になります。ただ、こうすれば絶対、カビを防げるというものはありません。
もし、カビが生えた食べ物を食べてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
専門家によりますと、一般的にはよほど大量のカビ毒を摂取しない限り、急性の症状は出ることはないということで、1度食べたくらいで体調に変化がなければ気にしなくてよいということです。
ですが、毒であることに変わりはありません。それにカビの毒は、熱を加えても分解しません。食べないようにカビが生えたら捨てるということを徹底してください。
【手洗いなど基本に忠実に】
食中毒についてお伝えしてきましたが、全般に効果的なのは手洗いです。手を洗うことで食べ物に細菌がつく可能性を下げることができます。
コロナで手洗いの重要性が改めて認識されましたが、今一度徹底して、食中毒の予防も図ってほしいと思います。
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待っています
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