福島県大熊町特産のキウイが11年半ぶりに帰ってくる――。大熊で約100年間、ナシなどを栽培していた果樹園「フルーツガーデン関本」が3日、1日だけ町内で復活する。
東日本大震災に伴う原発事故後、果樹園は千葉県香取市で再開され、今回はそこで収穫したキウイを販売する。5代目の関本元樹さん(22)は「キウイは大熊と同じ方法で栽培した。多くの人に食べてほしい」と話す。
関本さん一家は、1912(明治45)年に大熊町でナシの栽培、89年ごろからはキウイの栽培を始めたとされる。震災前、大熊町はナシとキウイの栽培が基幹産業で、町のマスコットキャラクター「おおちゃんくうちゃん」はナシやキウイを抱えている。
原発事故後、一家は只見町などに避難。関本さんの父の信行さんは震災翌年の2012年11月、大熊町と気候が似ている千葉県香取市で栽培を再開した。
「どこで作っても俺が作れば大熊産だ」とナシ栽培の再開を喜んだが、軌道に乗り始めた17年8月、信行さんは55歳で亡くなった。
その後、香取市の農園のナシの木は伐採され、祖父の好一さん(87)が趣味でキウイ栽培をしていた。
関本さんは大学の休みを利用して父の知り合いの農家を訪ねたり、祖父の手伝いをしたりした。そのうちに「父が作ってきた果物を自分も作りたい」との思いが募り、就農を決意した。
大学を卒業した今春からは、本格的にキウイやナシの栽培を始めた。好一さんに教えを請い、大熊町で栽培していたように、あえて雑草を生やしたままにして土壌改良を図っている。
大熊町の農園のナシやキウイの木は伐採したが、直売所はそのままになっていた。今年6月に農園周辺の避難指示が解除されたのを機に、関本さんは「町のために何かできないか」と考え、町づくり団体「大熊つなげ隊」のメンバーらと話し合った。
キウイの加工品販売の案も出たが、「せっかくなら大熊町に直接足を運んでもらいたい」と、1日だけの直売所復活が決まった。
直売は3日正午から(なくなり次第終了)。香取市で収穫したキウイ4品種を直売し、試食もある。関本さんは「久々に会えるのを楽しみに、大熊町で待っています」と話している。(滝口信之)
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