歌人芸人・岡本雄矢さんのフリースタイルな短歌&エッセイ集『全員がサラダバーに行ってる時に全部のカバン見てる役割』が評判上々。たったの31文字で、世界はこんなにも情けなく、こんなにもドラマチックに!優しさが、切なさを生んだ!? 今日の #不幸短歌 。
* * *
【3人で並んでたけど2人だけ呼ばれて今1人で待っている】
先日、知り合いの方3人と、お酒を飲んだ後に、ラーメン屋さんにラーメンを食べに行った時のこと。
時刻は深夜2時頃だったでしょうか。
そのお店は人気店で、しかもカウンターで8席ほどしかない店なので、僕らが行った時には行列ができていました。
そこに並び、順番を待っていると、僕らの番が来て、店員さんが言ってきます。
「先、お2人様ご案内できますが」
できるなら3人で入りたいところです。
ですが3人並びの席を待っていたら、いつになるかわかりません。
後ろにも行列ができています。
僕は咄嗟の判断で「先に2人入っていいよ」と促します。
「ありがとう」
彼らは、そそくさとお店の中に入って行きます。
「いや、俺が待つから先いいよ」とかないんだ、と少しだけ思いながらも、僕は1人で待つことになりました。
15分ほど経った頃でしょうか。
僕が呼ばれてお店の中に入ると、知り合い2人は、ほぼラーメンを食べ終わったところでした。
これから入ってくる人のために席を空けるため、彼らは店を出ます。
「外で待ってるから」
彼らは言ってくれました。
待っててくれるんだ。嬉しい!
そう思ったのは一瞬で、でも、待ってるプレッシャーの中食べなきゃいけないじゃん。
早く食べなきゃいけないじゃん。
そんな考えが、僕の中で湧き立ってきます。
僕はラーメンが来ると急いで啜り、とにかく早く食べることに集中します。
正直、味なんて堪能できてませんし、途中、口の中を火傷しました。
だけど外で2人が待ってるから。
その一心で、ラーメンを食べ終え外に出ると、2人が待っています。
「待っててくれてありがとう」
そう声をかけると、2人は「全然いいよ」と言ってくれました。
そして1人が「じゃー帰ろうか。俺タクシー乗るから。またね」と帰っていきます。
もう1人も「じゃー私こっちだから。また!」と帰っていきます。
僕は彼らとは別の方向に向かって歩き出します。
待っててくれて嬉しかったけど、どうせ3人バラバラなら、もう少しゆっくり食べれたんじゃないだろうか。
そんなことを思いながら。
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待っています
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