読者のみなさまから寄せられたエピソードの中から、毎週ひとつの「物語」を、フラワーアーティストの東信さんが花束で表現する連載です。
新型コロナウイルスで大きな影響を受けた花の生産者を支援している全国農業協同組合連合会(全農)に、その活動の一環として連載にご協力いただいています。
あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら。
〈依頼人プロフィール〉
須藤由美さん(仮名) 38歳 女性
パート
新潟県在住
◇
1年交際した夫と結婚が決まったのは14年前。すぐに上の子がおなかにやってきてくれて、それからは毎日が怒濤(どとう)の勢いで流れていきました。夫は私と正反対で穏やかな性格。私の激しい気性を緩和してくれる大切な存在です。いつでも私に感謝の気持ちをきちんと伝えてくれる夫のおかげで、私も周りに対していつも感謝できるようになっていきました。
子どもたちも、ある時は友達のように遊んでくれたり、子どものように一緒になって私を困らせたりするパパが大好きです。子どもたちが学校でその日あったできごとをおもしろおかしく報告したり、テレビを見ながらああでもないこうでもないとみんなでつっこんだり。夜ご飯の時は、そんなおしゃべりを楽しむ家族の笑顔がありました。
末っ子が1年前に生まれ、3人のかわいい子どもたちの成長を一緒に見守ろうと楽しみにしていた矢先のことです。上の子の入学式が終わった頃に、夫は体調を崩し、救急車で運ばれました。
一時は命の危機もあったものの、なんとか乗り越えてくれた夫。その後も、家族のために仕事に戻れるよう、頑張りすぎて体調を崩すほど、リハビリに励みました。一番自分が大変なのに、そんな時でも私たち家族や両親を気遣う言葉を忘れないのが夫です。
生活を心配して「子どもたちは大丈夫か?」と何度夫から言われたかわかりません。また、夫は両親にも「体が大変だから無理しないで。ごめんね」と何度も声をかけていました。コロナで限られている面会も「遠いから、あまり来なくていいよ」と気遣ってくれます。
かわいい子どもたちに会えない毎日と、リハビリに耐えること3カ月。やっと今週、夫が退院することになりました。とはいえ、まだまだリハビリ通院する生活が続きます。
どことなく寂しい夕食の食卓に、パパが家をにぎやかにしてくれていたことを実感した子どもたち。「パパといっぱいおしゃべりしたい」とその帰りを心待ちにしているようで、何度も退院の日付を確認しています。
これまで面と向かって言ったことはないけれど、14年間の夫への感謝、寂しがりの夫に「私も子どもたちも、いつも心はそばにいるよ」という思い、そして頑張りすぎるところがある夫に「ゆったりでいいからね」という願いを込めて。また、目にするたびに家族みんなで過ごす楽しみを思い浮かべてもらえるような、そんな花束をお願いします。
花束をつくった東さんのコメント
お子さんたちも大好きな、楽しいパパ。明るくにぎやかなお人柄のイメージを、アレンジに仕立てました。
お子さんたちとおしゃべりをする時に話題を提供できるように、普段見かけることがあまりない珍しいお花も入れてみました。例えば、極楽鳥花(ストレリチア/バード・オブ・パラダイスフラワー)。その名の通り、鳥のトサカにも見えるお花です。
ネイティブフラワーなどパワフルなお花も多いので、お花の持つエネルギーで1日も早く元気になってほしい、またご家族でアレンジを囲んでワイワイ楽しんでいただきたいと思います。
文:福光恵
写真:椎木俊介
読者のみなさまから「物語」を募集しています。
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。毎週ひとつの物語を選んで、東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
応募フォームはこちらからの記事と詳細 ( いつもにぎやかな夫が、病に。子どもたちと帰りを待っているね - 朝日新聞デジタル )
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待っています
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